今回は群馬県館林市にある田山花袋記念文学館と、田山花袋旧居を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
1.館林ゆかりの作家 田山花袋の記念文学館を訪問
今日訪れたのは、群馬県の南東部にある館林市です。
上野から電車で1時間ちょっとの場所にある館林市は、利根川・渡良瀬川といった大きな河川に挟まれ、古くから豊かな自然と水資源、沼地を擁する街として親しまれてきました。
また、明治以降は様々な産業によって栄え、豊かな自然と産業が共存する群馬の中核都市のひとつとなりました。

そんな館林で生まれ、少年期を館林で過ごした作家田山花袋(かたい)を記念してつくられた文学館が、今回の目的地である田山花袋記念文学館です。

花袋は幼少期に父を西南戦争で亡くし、9歳の時には足利で丁稚奉公にだされるなど苦労をしましたが、その後漢学塾で漢文を学び、歌や西洋文学の見聞を広げていきました。
館林駅から20分ほど歩くと、かつて館林城のあった城跡のエリアが見えてきますが、文学館が建つのはまさに館林城があったエリアです。

文学館の建物は一見してシンプルな造形と閉じた装いの建物に見えますが、城壁や武家屋敷の要素が抽象化されてデザインに反映されていて、館林の街並みに馴染んでいます。

花袋は上京した10代の終わりには尾崎紅葉に師事し、20代の頃に知り合った国木田独歩や島崎藤村らと交流を行ったりしながら、文学界で徐々にその存在感を高めていきました。
30代の半ばに「蒲団( ふとん)」や「田舎教師」などの作品を発表し文壇に大きな衝撃を与え、自然主義文学を確立した人物として評価されている作家でもあります。
文学館は、中庭を中心にエントランスゾーン、常設展示ゾーン、企画展示ゾーンがぐるりとまわる構成になっていて、入館料 は大人220円、中学生以下無料とリーズナブルです。

こちらは入館時にいただいたパンフレットとトレーディングカード風の花袋のカードです。(期間限定での配布)
私がいただいたカードは、花袋のトレードマークである「めがね」でした。
文学館といえば、ちょっと地味で特に若者は近づきにくいイメージもありますが、最近ではこうしたカードやアニメ作品とのコラボなども行っていて、幅広い世代の利用者へアプローチしようとしています。
館内では自筆原稿や著書、書簡、遺品等の貴重な資料の他、生まれ育った館林との関係や影響などが展示されています。
展示室は常設展示室と企画展示室の2部屋とコンパクトな構成となっていますが、直筆原稿などの貴重な資料から、書斎の再現ゾーンなどもあり、様々な側面から花袋の魅力や人となりを知ることができます。
田山花袋記念文学館には約11000点もの資料が収蔵されていますが、私が訪れた時は「花袋先生の愛用品展」という企画展が行われていました。

この企画展では、花袋がその暮らしと執筆活動で使っていた道具が展示されていました。
訪れる前は100年前の文豪ということで身構えていましたが、生活の中で使っていたアイテムをみると、花袋との距離感が一気に縮まる興味深い展示でした。
展示は期間ごとに入れ替わりますが、膨大な収蔵品の中から選りすぐられたコレクションはとても興味深かったです。
2.かつて花袋が暮らした田山花袋旧居も合わせて見学
田山花袋記念文学館を堪能したあとは、すぐ向かいに建つ田山花袋の旧居を見学しました。

向かいの敷地にはいり、木々に覆われた奥のエリアに足を運ぶと、花袋の銅像があります。
さらに進むと田山花袋が7歳から14歳までを過ごした家を移築・復元した田山花袋旧居が見えてきます。

建物は、元々は市内に江戸時代後期に建てられた武家屋敷であり、1981年に移築されました。
見学は外観のみとなりますが、大小様々な5つの部屋から当時の生活を伺い知ることができます。

同じ敷地内には明治末期に建てられた旧上毛モスリン事務所も建っています。
旧居の周りは高い木々に囲まれているので、明治時代にタイムトリップしたような不思議な感覚を体験できました。

今まであまり知らなかった田山花袋の足跡と展示をたっぷりと堪能して、この日の本棚巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。

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田山花袋記念文学館
所在地:群馬県館林市城町1-3
アクセス:館林駅から徒歩約20分
オープン年:1987年
開館時間:9:00~17:00
休館日:月曜日
入館料 :大人220円、中学生以下無料
ホームページ:http://www.city.tatebayashi.gunma.jp/bunka/

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