中井「新宿区立林芙美子記念館」昭和初期を代表する女流作家の自邸をレポート

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今回は、新宿区立林芙美子記念館(旧林芙美子邸)を訪れてきましたのでその模様をレポートしたいと思います。

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1.作家林芙美子がくらした邸宅を改修した記念館を訪問

今日訪れたのは、都営大江戸線の中井駅から程なく歩いたところにある新宿区立林芙美子記念館です。
この林芙美子記念館は、1941年に建てられた小説家林芙美子の自邸を改修して1992年にオープンしました。

林芙美子といえば1928年から連載の始まった「放浪記」がベストセラーとなり、その後も自伝的小説が人気を博したり、戦時中は日本陸軍の報道部報道班員として海外滞在を経験した日本の昭和初期を代表する作家です。
この記念館の元となった邸宅は、芙美子が人気作家としての地位を確固たるものとした30代後半の1941年に建てられたもので、以後1951年に心臓麻痺により急逝するまでの10年間をこの家で過ごしました。

戦時の建築制限で一棟の面積が約30坪に制限されていたことから2棟を連結させてつくられた住宅は、芙美子自身も相当に建築を勉強してつくられました。

現在の記念館は、2つの棟の間にある勝手口と土間の間を入って南側の庭にアプローチします。

敷地西側の棟のアトリエと離れの蔵は資料や映像の展示スペースに、その他の部屋は当時の暮らしぶりがそのまま垣間見ることのできる空間展示となっています。

林芙美子記念館

こちらは東側の棟にある茶の間で、芙美子らの生活の中心となったお部屋です。

林芙美子記念館

杉の天井に檜の広縁、様々な造り付けの造作家具や掘り炬燵が設えた部屋は、不思議と均衡がとれた落ち着く空間となっています。

林芙美子記念館

日本建築の和の佇まいの中に、芙美子の実生活に寄り添った工夫とこだわりが随所に表れた住宅は、展示物だけでなく空間全体で林芙美子を追体験することができます。

こちらは茶の間のお隣の小間で、書生や芙美子の母の部屋など時代ごとに様々な使われ方をしたお部屋です。

林芙美子記念館

この小間の向こう側が本来の玄関となっていますが、通常公開時は外側からのみの見学となります。

2.こだわりの建築美と暮らしの工夫をたっぷりと堪能

先ほど自邸の建築に当たって芙美子自身も建築を勉強したと書きましたが、芙美子と建築は実は想像以上に深いつながりがあります。

林芙美子記念館

芙美子は放浪記のベストセラーによって得た印税を元に1931年にシベリヤ経由でパリへ一人旅をしています。約8ヶ月に及ぶ周遊で出会ったのは、後に戦後日本を代表する建築家となり、渋谷の松濤美術館をはじめとする建築で知られる白井晟一。
白井は1930年に哲学を学ぶ為にソビエト経由でドイツに留学していて、その後専攻を変えて建築の道に進みます。
義兄がフランスで開いた個展の手伝いをするためにパリに赴いた時期に芙美子と出会い、恋人関係となりました。

ここで芙美子は白井と共にフランスの建築を巡り、様々な文化的な交流を持ちます。
芙美子と白井の関係はそれぞれのエッセイが残されているので、気になる人は是非読んでみて下さい。

白井との交際からもわかるように、芙美子の建築への意識は一般的な建築家と比べても遜色ないものだったと思います。
さらに自邸の建築が決まった後は100冊は超える建築書を読み漁ったというからやはり普通ではありません。

そんな中で、自邸の建物の設計を手がけたのは白井晟一ではなく、建築家の山口文象。
山口文象は、芙美子と同時期に渡欧した経験を持つ建築家です。

林芙美子記念館

日本建築史に名を残す山口文象にしても、林芙美子のこだわりは強烈だったに違いないです。
そんな芙美子と文象がつくりあげたのは、風が抜け、豊かな光が室内を照らす和の建築。

林芙美子記念館

様々な検討が重ねに重ねられた住まいなのですが、実際に完成した住まいを見てみるとその端正な佇まいがとても印象的です。

品のよさと美しさが際立った建物は、実に芙美子らしい住まいに思えます。
随所に住まい手視点でのこだわりが詰まっているのも見どころです。

奥行きのある空間が連なる構成なども面白いですが、例えばお風呂の浴槽が掘り込み式になっているなど、生活者としての実用性も考え込まれているのが注目ポイントです。

また、それまでの日本建築で大事にされていた客間よりも、生活の場となる各部屋が優先されているのも新しい時代の息吹を感じて面白いです。

林芙美子記念館

アトリエは裏側から見るとモダニズム建築らしい造形を感じます。 窓は内側から見ると障子の貼られた和の装いでしたが、外側から見ると西洋風にみえます。

アトリエと居間・次の前に挟まれたこちらの写真の右手の書斎は、元々は納戸としてつくられた部屋でした。

林芙美子記念館

収納が多くあり風通しもよいこの部屋を後から書斎に変えてしまう柔軟性も素敵です。

林芙美子の生活と創作の場をたっぷりと堪能して、この日の本棚巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも機会があればぜひ訪れてみて下さいね。


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新宿区立林芙美子記念館
住所:東京都新宿区中井2-20-1
アクセス:中井駅から徒歩約7分
オープン年:1992年(建物の竣工は1941年)
休館日:月曜日、年末年始
入館料:一般150円、小・中学生50円
ホームページ:https://www.regasu-shinjuku.or.jp/rekihaku/fumiko/12/

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