今日は富山県富山市にある高志の国文学館を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
1.富山ゆかりの文学作品や文化人の足跡を辿る文学館
今回訪れたのは、東京から少し離れた富山駅の南西エリアに建つ高志の国(こうしのくに)文学館です。
この文学館は2012年に開館し、富山県ゆかりの文学作品や作家についての展示や情報発信が行われる文学館です。

富山県は実は万葉集の歌人 大伴家持が200首以上の歌を詠んだ土地であり、また現代では作家の堀田善衞氏や実業家の角川源義氏(角川グループの創始者)をはじめ、多くの作家や文化人を輩出してきました。
そんな文学の歴史と文化の発信拠点として誕生したのが、ここ高志の国文学館です。

富山駅から歩いて約15分、路面電車の県庁前停留所からだと数分歩くと文学館の建物が見えてきます。
元々この場所には1970年代に建てられた旧知事公館がありましたが、文学館の建設に際しては、この旧公館の建物を活かしながら文学館部分の増築と整備が行われているのがとてもユニークです。
建物の構成は、旧知事公館の東側に「蔵」を模した7つの展示空間やその他諸室が配置され、それらの部屋と旧公館を繋ぐ通路や文学館のロビーが「土間」に見立てられているのが特徴です。

文学館の北東側にまわると、蔵に見立てられた展示室のボリュームが分棟配置されているのがよく分かります。

建物南側のメインエントランスに立つと、左手に旧知事公館、右手に文学館の展示スペースがあり、その間を大きな木調の屋根とガラスのロビー空間が繋げています。
中央のガラスの大開口は、館内から眺めると公園の緑まで視界が広がるようデザインされていて、建物の内外が自然につながる感覚が味わえます。

また、外側から見ると文学館の外に広がる庭や公館の風景を反射して、これらの風景が建物内部に続いているような錯覚を覚えます。
建物は決して派手さはないものの、周囲の景観と調和し、土地に根ざしているような設えとなっているのがとても魅力的です。
2.細部まで計算された建築美と展示の魅力
文学館の外観でひときわ目を引くのは、外壁を覆うアルミ鋳物パネルです。
このアルミ鋳物パネルは富山県の主要産業のひとつであり、表面には万葉集に詠まれた植物がモチーフとしてあしらわれています。

このモチーフは立体的に鋳造されていて、微妙な光の陰影は見る角度によって異なる表情となっています。
7つの蔵のボリュームにはそれぞれ企画展示室、常設展示室、研修室、事務室などが配置されています。

私が訪れた時がちょうど翌週から企画展が始まるタイミングだったので常設展のみの見学となりましたが、普段知る機会の少ない富山ゆかりの作家の作品や功績はとても興味深かったです。
展示内容は近現代の文学が中心ではありますが、様々な時代の内容が網羅されていて見応えがありました。
また、展示は小説だけでなく、漫画家の藤子不二雄Ⓐ氏や藤子・F・不二雄氏、映画監督の細田守氏なども取り上げられており、ジャンルを超えた幅広い展示が楽しめました。(展示室内は撮影不可)
私は日曜の昼過ぎに訪れましたが、館内はとても静かで、じっくりと展示を楽しむことができました。

展示を満喫した後は、ロビーで一息つきます。
ロビー空間は大開口のガラス窓から庭園や旧知事公館が望め、内外が連続するような空間が心地よいです。
天井高が抑えられ、ルーバーによって視線が外に誘導されていることもありますが、「蔵」は堅牢に収蔵物を守り、「土間」がバッファゾーンとして建物外部の環境を活かしているのが素敵です。
3.旧知事公館で素敵なティータイムを
ロビー空間を西に進んだの奥には、1978年に建てられた旧知事公館があります。

この公館は現在は研修室や和室として整備されていますが、1階の一角にはフレンチレストラン&カフェ「Chez Yoshi(シェ ヨシ)」が入っています。

せっかくなのでこちらのレストラン&カフェでひと休みしていくことに。
この日私が頂いたのは、テリーヌ・オ・ショコラとジンジャーエールのセット。

濃厚ながらも口どけの良いショコラは、甘さが程よく抑えられていてとても美味しかったです。
器の美しさや、窓から見える庭園の緑と差し込む陽光も心地よく、文学館の展示に思いを馳せつつ優雅な余韻を味わうことができました。

富山の歴史や土地の魅力を一緒に感じながら、富山ゆかりの文学の世界をたっぷりと堪能しました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。
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高志の国文学館
住所:富山県富山市舟橋南町2-22
アクセス:富山駅から徒歩約15分、県庁前駅から徒歩約3分
オープン年:2012年
ホームページ:https://www.koshibun.jp

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