浦和「ヒアシンスハウス」若き天才詩人・建築家が構想した週末住宅をレポート

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今回はさいたま市の浦和区にあるヒアシンスハウスを訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

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1.若くしてこの世を去った一人の詩人・建築家の住まいを訪問

今日訪れたのは、埼玉県さいたま市の中浦和駅から程なく歩いたところにある別所沼公園。
駅から5分ほど歩くと見えてくるのは、穏やかな自然と一面に広がる湖畔が印象的な市営の公園です。

東京都内からもほど近いのどかな公園の一角に詩人 立原道造が設計した週末住宅があると聞き、早速訪れてきました。

立原道造は大正時代の1914年に生まれ、結核により24歳でその生涯を閉じた詩人です。
この小さな週末住宅は、立原道造が残したスケッチをもとに後年になって建てられた住宅です。

ヒアシンスハウス

公園をしばらく散策すると今回の目的地であるヒアシンスハウスがみえてきます。
現在は詩人として知られる立原道造は、東京大学建築学科で学び、将来を嘱望される建築家の卵でもありました。
立原の一つ下の学年には後に世界的な建築家となる丹下健三らがおり、立原自身も長きに渡って多くの建築家を輩出する建築家 岸田日出刀の研究室に所属していました。

大学での立原は学内の優秀な学生に送られる辰野賞を3度受賞など建築家としての素養も抜群で、後輩からは憧れの存在としてみられていました。
また、大学卒業後は設計事務所で建築の実務を行う一方で、文藝誌に作品が掲載されるなど詩と建築の両方でその才能を開花させつつありました。
大学卒業後の1939年には第1回中原中也賞を受賞しますが、同年病気の為この世を去ってしまいます。

そんな立原の構想した住宅が、地元の建築家や市民団体の有志による活動によって当時のスケッチや設計図を元にして建てられたのは2004年のこと。

現在は週の半分ほどの開館日にはその内部を見学することができます。

ヒアシンスハウス

外観はとてもシンプルな装いです。
週末住宅として構想された小さな小屋ということもあって、軽やかな屋根に風合いを感じる木の外装材がよく映えています。

戸に開けられた十字のデザインがとても印象的です。
朝にはこの小さな十字の開口から、屋内に朝日が差し込んで、目覚めるのかななどと想像が広がります。

池の畔に建てられた小さな小屋は、病気がちだった立原が描いたひとつの理想郷でした。
昭和初期の浦和市は多くの画家が住み、「鎌倉文士に浦和画家」という言葉があったほどで、画家だけでなく詩人や彫刻家が暮らし、交流していました。

この別所沼で創作活動をする未来は残念ながら立原には訪れませんでしたが、立原の思いがこの建物に息づいているようです。

立原の没後60年以上の時を経て建てられたヒアシンスハウスですが、それでも建築から20年以上の月日が経っていて、建物の外装には風格が感じられます。

ヒアシンスハウス

立原がもし24歳で亡くなることなくこの週末住宅が建てられていたら、40代となった立原がここで創作活動をしていたのかなと思うと感慨深いです。

2.こだわりが光る詩的な空間をたっぷりと堪能

正面の玄関からさっそく中へお邪魔します。

光が優しく室内を照らす空間には、穏やかな立原の感性が感じられます。
この小さな住宅は、住宅といってもベッドと机の置かれた一続きの空間とトイレがあるだけという簡素な佇まいです。

ヒアシンスハウス

キッチンやお風呂はないので、単体の住宅というよりは芸術家たちが集まった村の中のアトリエ住宅という構想だったのかもしれません。
立原の東京大学での卒業設計は、浅間山麓の芸術家村コロニイの建築群の構想でしたが、ここ浦和の別所沼で穏やかながら刺激的な芸術家村を描いていたのでしょう。

立原がこだわった窓のデザインもとても注目ポイントです。

ヒアシンスハウス

風景に寄り添うような詩的なデザインに、時間が経つのを忘れそうになります。
素朴で、しかし考え抜かれ、知性を感じる設えがとても味わい深いです。

ガラス窓の向こうで
朝が
小鳥とダンスしてます
お天気のよい青い空

「ガラス窓の向うで」立原道造

削ぎ落とす、というにはあまりにも優しいデザインがとても魅力的で立原らしいです。

ヒアシンスハウス

とてもコンパクトな空間ですが、そこでの穏やかな生活が目に浮かびます。

立原道造の描いた世界をたっぷりと堪能して、この日の本棚巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも興味があればぜひ訪れてみて下さいね。

ヒアシンスハウス

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ヒアシンスハウス
住所:埼玉県さいたま市南区別所5-5-9
アクセス:中浦和駅から徒歩5分
オープン年:2004年
開館日:水曜日・土曜日・日曜日・祝日
開館時間:10:00~15:00
その他:開館日や開館時間は季節やイベント、その他の諸事情によって変更になる場合があるので要注意

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