今回は東京都三鷹市の吉村昭書斎を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
1.作家吉村昭氏の書斎を移築した展示・交流施設を訪問
今回訪れた三鷹市吉村昭書斎は、ノンフィクション・歴史小説の作家として知られる吉村昭の書斎を移築してつくられた資料館・記念館です。

吉村昭氏の書斎といえば、以前このブログで荒川区の中央図書館や区民の為のスペース、カフェなどの複合施設 ゆいの森あらわかの一角にはいる吉村昭記念文学館をレポートしました。
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今回訪れた三鷹市吉村昭書斎は、吉村氏が多くの作品を執筆した井の頭公園近くの書斎を移築・整備して2024年3月に公開した施設です。
井の頭公園駅を下車し、線路脇の道を数分あるくと今回の目的地である三鷹市吉村昭書斎が見えてきます。

この施設は事務室兼書斎へのアプローチとなる手前の交流棟と、移築された書斎や茶室が入る奥の書斎棟に分かれていて、コンパクトな施設ながら吉村氏の足跡を辿り、当時の暮らしぶりを体験することができます。
建物の外観は住宅街のスケールに寄り添ったシンプルな装いですが、館内は高い天井高と抜け感がある展示空間となっているのも特徴です。

まずは向かって左側にある交流棟にはいり、入り口入ってすぐの受付でチケットを購入します。
入館料は交流棟のみの見学であれば無料、書斎棟を見学する場合は100円とかなりリーズナブル。
交流棟には吉村氏についての紹介がボードや映像で展示されていたり、吉村氏が残した多くの書籍が展示されています。
交流棟の片面は開放的なガラス張りになっていて、ガラスの向こうに広がる庭や吉村氏執筆活動の中心であった離れの書斎をひとつの展示物として見ることができるのもユニークです。

あらためて吉村昭といえば1927年(昭和2年)に現在の荒川区東日暮里で生まれ、いわゆる記録文学と呼ばれるノンフィクション・歴史小説を数多く発表した昭和を代表する小説家です。
生まれつきの体の弱さや戦争などの大きな歴史的な出来事に翻弄されながらも、綿密な取材や幅広い資料の精査によって描かれた作品は多くの人々を魅了し、ドラマや映画の原作となることも多くありました。
ここ交流棟ではそんな吉村氏の足跡を様々な資料で知ることができ、吉村氏について詳しくない人でもはじめの基礎知識としてその足跡を辿ることができます。
2.交流棟から書斎棟へ。吉村氏の執筆活動の場を追体験
交流棟での展示を楽しんだ後は奥の扉から一旦外へでます。

書斎棟へは一度外部の通路を経て、裏手のアプローチからアクセスします。
書斎棟へのアプローチの壁は年表が書き込まれていて、現代から当時の世界へトリップするタイムトンネルのような場所になっています。

一度外部通路を通って書斎へと至るシークエンスを体験しながら展示を巡ることができるのが印象的です。
吉村氏は40際を過ぎた頃に井の頭に新居を構えました。
はじめは新居の母屋の2階に書斎を構えていましたが、蔵書が収まり切らなくなったこともあり、9年後の1978年に母屋の南西に離れの書斎を建てました。
それから2006年に亡くなるまで執筆活動を続けた離れの書斎を移築・復元したのがこちらの書斎棟なのです。

この書斎棟は展示室の他、書斎、茶室があって、元々トイレや台所だったスペースが展示室になっています。
再現された書斎は、以前ゆいの森あらわか内にある吉村昭記念文学館で見学しているので、そんな書斎が再び目の前に広がっているのはちょっと不思議な感覚です。

書斎はつい先程まで執筆を行なっていたかのような臨場感があってワクワクします。
壁一面だけでなく、床にも様々な本が置かれた書斎は吉村氏の知の一端が垣間見れるようです。
ゆいの森あらわかと違ってこちらは入り口から覗き見るだけですが、窓の外に見える庭も含めて三鷹市吉村昭書斎からはリアルな空間感を感じます。

また、建物内にあるもう一つの部屋の茶室では吉村氏が書いた書を飾られていて、書斎と合わせて吉村氏の暮らしぶりを体感することができました。
素敵な空間と貴重な資料をたっぷりと堪能して、この日の本棚巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。
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2025年4月には続巻である2巻も発売したので、是非チェックしてみてください。
三鷹市吉村昭書斎
住所:東京都三鷹市井の頭3-3-17
アクセス:井の頭公園駅から徒歩約4分
オープン年:2024年
開館時間:10:00~17:30
休館日:月曜日
入館料:交流棟無料、書斎棟100円

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