今日は、東京市谷エリアにある市谷の杜 本と活字館を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
1.大日本印刷の古い印刷工場・営業所をリニューアルした資料館・ギャラリーが面白い
今回訪れたのは、閑静な住宅街がひろがる市谷加賀町エリアにある市谷の杜 本と活字館です。
この本と活字館は、隣接する大日本印刷の本社ビルの建替えプロジェクトとあわせてつくられた資料館・ギャラリーで、大規模な改修工事を経て2020年にオープンしました。
元々の建物は大正末期のに建てられた秀英舎(後の大日本印刷)の工場・営業所で、度重なる改修や増築を行いながら2016年頃まで大日本印刷の施設として使われていました。
例えば今回の改修前までは、正面に2階へ上る階段があったり、階数も1階分増加されていたりしましたが、今回の復原・再生で、奥に隠れていた時計塔や正面のエントランスをはじめ竣工当時の姿に再び戻ることになりました。
建物が建てられたのが90年以上前のことなので、当時の詳細な図面や記録はほとんど残っていませんでした。
専門からが結集して、現存する資料や実地調査による検証を重ね、大正時代の建物が現代に蘇りました。
簡素な中に大正モダンのおしゃれで優雅な外観デザインが見え隠れする建物は、とても魅力的です。
ちなみに奥に見えるのが、地上25階地下4階建てのDNP市谷加賀町ビル(本社ビル)です。
本社ビル建て替えに際しては、工場機能を地下に収めることで「市谷の杜」と呼ばれる約2万㎡の緑地が整備されました。
最新鋭の高層ビルと、大正時代の面影を感じる本と活字館、広大な緑地が重なる風景がちょっと不思議で面白いです。
2.普段は見ることのない貴重な展示物と活字の魅力を堪能
階段を上がって早速館内に入ります。ちなみに入館料は無料です。
館内は1階入ってすぐのところに受付と喫茶店、奥の大きなスペースが印刷所と名付けられた印刷工場の再現展示室、さらに奥が休憩スペースとお手洗いとなっています。
階段を上がった2階は制作室名付けられたワークショップやイベントスペース、企画展示スペース、ミュージアムショップなっています。
受付カウンターの左手には、活字がつくられ、製本されるまでの一連の工程が展示されています。
職人さんが文字の原図をつくり、そこから母型彫り、鋳造、それらを組み合わせて実際に印刷製本するまでの流れはとても興味深いです。
今まで当たり前に接していた活字の印刷が、かつてはこんな風につくられていたのかと、驚きと納得の連続でした。
中央の印刷工場の再現展示も見応えがあります。熟練の職人さんによる技と、工夫に満ちた機械とが合わさることで、それまでは考えられない量の印刷物が世に出ていったことを想像するとワクワクします。
2階はワークショップスペースと企画展示スペースになっていて、時期ごとに様々なイベントや展示が企画されています。
今回訪れた時には、実際の登山専門誌「山と溪谷」を題材に、雑誌がどのようにつくられ、印刷され、製本に至るのかを事細かに展示していました。
普段何気なく手にとっている雑誌ができるまでには、こんなにも多くの工程と工夫が詰まっていたのかと、とても興味深く感じました。
限られたスペースでの展示でしたが、クイズコーナーや、大スクリーンによる映像など様々な展示方法となっているのも素敵でした。
3.素敵な建物を鑑賞しながら併設のカフェでひと休み
一通り展示を楽しんだあとは館内を散策しました。
展示内容も興味深かったですが、館内は建物自体が大正時代の面影を残す貴重な空間となっています。
柱や天井に施された精巧な装飾、間接照明によって照らされた力強い鉄筋コンクリートの柱や梁などは見応えがありました。
また、館内のサインやベンチには、秀英舎時代から受け継がれる書体をモチーフにデザインされていて、活字の持つ美しさをたっぷりと味わえます。
最後は受付カウンター前にあるカフェでドリンクを購入してひと休憩。
こちらの喫茶店では時期ごとにも変わるドリンクや軽食をいただくことができます。
尚、喫茶店で注文したメニューは、こちらのスペースの他、2階の奥のベンチや屋外のテラススペースで頂けます。
1階の印刷所の奥にあるスペースでドリンクを頂きながら展示の余韻に浸るのは、とても幸せな時間でした。
素敵な展示をたっぷりと堪能して、この日の本棚巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてくださいね。
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市谷の杜 本と活字館
住所:東京都新宿区市谷加賀町1-1-1
アクセス:市ヶ谷駅から徒歩約7分
オープン年:2020年
開館時間:10:00~18:00
休館日:月曜日、火曜日(祝日の場合は開館)、年末年始
入館料:無料
ホームページ:https://ichigaya-letterpress.jp/index.html
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