こんにちは、やまです。
三省堂書店神保町本店が建替えに伴って5月8日をもって閉館するということで、最後の思い出に訪れてきたのでその模様をレポートしたいと思います。
神保町のランドマーク!2022年の閉館直前の三省堂書店を訪問
神保町といえば、言わずもがな知れた書店街ということで、本好きとしては思い出深い場所。
その中でも三省堂書店神保町本店は神保町一の大型書店ということで、閉館のニュースを聞いたときには流石にショックでした。
靖国通りと神田すずらん通り、西側の小路の3つの通りに囲われた敷地に建つ建物は、1981年に三省堂書店創業100周年を記念して建てられた売り場面積1000坪を超える巨大書店。
1981年に100周年ということは三省堂書店の創業は明治時代の1881年ということになりますが、これは大手の書店の中でもかなりの老舗の部類に入ります。
建物入口にある定礎の石板もどこか誇らしげだ。
ややクリーム色かかったタイルの外壁の中央に小豆色のフレームが嵌め込まれた様な外観は、まるで巨大な百科事典がそのまま建築になったように見えます。
三省堂書店といえば辞典のイメージも強いですが、まさにそんな三省堂書店のイメージを象徴するかのようなこの建物は、三省堂書店だけでなく神保町のランドマークにもなっていました。
靖国通りが表紙なら、裏表紙に当たるこちらの神田すずらん通り側の立面デザインも素敵です。
表と裏の通りを繋ぎつつ、街ゆく人々を書店に誘うような動線も魅力的。
今回の閉館は建物の老朽化が理由とのことで、2025年~2026年の竣工を目指して新しいビルが建設予定とのこと。
建物の全面に掲げられた「いったん、しおりを挟みます。」のコピーが物語るように、閉館は新書店建設の為の一時的なものだとか。
とはいえ、建築から41年で解体とは、建築好きとしては少し寂しい気もします。
建築×大型書店の関係を振り返る
ここで少し建築好きとしては、建築と大型書店という関係の中で見逃せない書店が2つあります。
1つ目が新宿駅東口に建つ紀伊國屋書店新宿本店。
こちらの建物は、前々回の東京オリンピックのあった1964年に完成した建築で、日本のモダニズム建築の巨匠 前川國男が手掛けた書店で、2017年には東京都より歴史的建造物に指定されている。
まるで巨大な本棚のような外観の建物は、書店だけでなく画廊やホールを併設されていて、まさに新宿の文化の発信拠点となった建物。
今では売り場面積約1500坪を誇り、都内の書店の中でもベスト3の規模の書店ですが、竣工当時の売り場面積は480坪ほどだったそう。
いわば日本の大型書店の原点のひとつといえる書店です。
2つ目の建物は東京駅八重洲口に建つ、八重洲ブックセンター八重洲本店。
こちらの書店は大手ゼネコンである鹿島建設の旧本社跡地に世界一の売り場面積を持つ書店をつくろうと計画された書店で1978年のオープン。
大型書店への業界団体からの反発から当初の計画からは縮小された1300坪の書店となりましたが、当時は紀伊國屋書店新宿本店をしのぐ売り場面積日本一の書店として大きな話題を集めたそう。
1978年に建てられた八重洲ブックセンター八重洲本店から、大型書店が急速に全国に広まっていった、いわば大型書店の火付け役ともいえる書店です。
そして八重洲ブックセンターのオープンから3年後の1981年にオープンしたのが、今回訪れた三省堂書店神保町本店。(当時は神田本店という名称だった)
八重洲ブックセンター八重洲本店の1300坪よりは少し小さいものの、約1000坪の売り場面積を誇る書店は日本でも有数の規模を誇る書店でした。
その後1980年代から90年代にかけては全国に巨大書店が次々と建てられ、紀伊國屋書店新宿本店も約1500坪に売り場面積を拡大、八重洲ブックセンターも1800坪に拡大するなど書店の大型化が進んでいました。
紀伊国屋書店は東京都の歴史的建造物に指定され改修・保存が進められ、八重洲ブックセンターは再開発の為取壊しが濃厚、三省堂書店神保町本店も建替えと、ここに来て黎明期の大型書店の一つの転換点に差し掛かっています。
書店を巡る状況も厳しい状況に変化していく中で、リアルな場で本の魅力とインパクトを伝えるべく編み出されたものに「タワー積み」があります。
今や三省堂書店の名物ともなっているワタ―積みが、三省堂書店で初めて行われたのは、なんと今から20年前の2002年とのこと。
店頭に掲げられているタワー積みの縁起によると、2002年の9月に村上春樹さんの「海辺のカフカ」発売時に文芸書担当の書店員さんが始めたらしい。
この安定感のあるタワーは、三省堂書店の建物にも通じる安定感と質実剛健があってとっても素敵です。
数々の本好き・作家さんに愛された放心亭でランチ
書店が一つのビルとして巨大化することで、小さな書店にはなかったカフェやレストランが併設されているのも大型書店の特徴。
2階に入るカフェコンフォートでは、買ったばかりの本を家に帰る前に待ちきれず読み始める楽しさがあった。
今ではスマホが普及して待ち合わせに困ることはないが、以前はこうした喫茶店が絶好の待ち合わせスポットにもなっていました。
考えてみれば本屋ほど待ち合わせにピッタリのスポットもないわけで、ここで数多の人の出会いが生まれたのだと想像すると嬉しくなります。
また、三省堂書店の地下には放心亭というドイツ料理が楽しめるレストランがあります。
三省堂書店には、何度も足を運んでいますが、正直こちらのレストランはノーマークでした。
せっかくの機会なので、最後にこちらでランチを頂きました。
昭和の香りを残す風格あるタイルや、煉瓦の内装の店内が広がり中々趣があります。
もともとこのレストランはドイツのビールと料理を中心としたビアホールだが、カレーの街神保町らしくランチメニューは色々な種類のカレーがオススメメニューとして挙げられていました。
せっかくなので、こちらの「神保町ハヤシ・カツカレーライス」を頂きました。
ハヤシライスとカツカレーを一挙に味わえるメニューは、コクのあるハヤシライスとちょっとスパイシーなカレーの両方が味わえてお得感があります。
ハヤシライスとカレーは絶妙に合っていないのだが、これもいい思い出になりました。
他にもこちらの「牛スジとキノコのカレー」も定番メニューとのことで、近頃は本当にカレー推しのよう。
次回来たときはソーセージなどのドイツ料理も堪能したいと思いきや、それが叶わないのが寂しいところ。
建替え後の建物にはどんなレストランが入るのか今からとても気になります。
カレーもたっぷりと堪能して、今回の三省堂書店神保町本店巡りは完了。
新しい書店は2025年~26年頃完成という情報意外まだ詳しいことはわからないけど、いったんしおりをはさんだ三省堂書店が、今後どんな物語を見せてくれるのかじっくりと待ちたいと思います。
三省堂書店神保町本店
住所:東京都千代田区神田神保町1-1
アクセス:神保町駅徒歩約3分
営業時間:10:00~20:00
創業:1881年
竣工:1981年
ホームページ:https://www.books-sanseido.co.jp/
備考:2022年5月8日に閉館(現在は仮店舗で営業中)
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