今回は東大阪にある司馬遼太郎記念館を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
1.司馬遼太郎の旧邸に隣接してつくられた記念館を訪問
今回訪れたのは、大阪駅から電車を乗り継いで30分ちょっと。
近鉄奈良線の八戸ノ里駅から程なく歩いたところにある司馬遼太郎記念館です。

司馬遼太郎といば戦後日本を代表する小説家・評論家。
代表作には坂本龍馬の生涯を描いた「竜馬がゆく」、新選組副長・土方歳三の生涯を描いた「燃えよ剣」、明治維新を経て近代化し、日清戦争・日露戦争に勝利して列国に肩を並べていく明治日本を描いた「坂の上の雲」などがあり、特に歴史小説で人気を博しました。
駅から記念館までは歩いて8分ほど。
途中府立高校の横を通り閑静な住宅街を進んでいくと、徐々に記念館の案内サインが増えていきます。

司馬遼太郎記念館は、司馬遼太郎の自邸があった場所に建てられていて、今も残る自邸部分と2001年に新しく建てられた記念館部分で構成されています。
まずは門を入ってすぐのところにある券売機でチケットを購入します。
入館料は大人800円、高・中学生400円、小学生300円と一般的な文学館よりやや高め。
(それでも美術館や映画館と比べるとリーズナブルなお値段ですね)

チケットを購入したら、雑木林を通って記念館に向かいます。
この雑木林は司馬遼太郎が好きだった雑木林のイメージでつくられていて四季折々の植物がみられます。


途中に通るのは司馬遼太郎の旧邸の書斎。
この書斎は小径から窓越しに内部を窺えて、当時は6万冊あった蔵書の一部や司馬遼太郎が使っていた椅子や机、万年筆などをみることができます。

記念館に向かう途中には2010年につくられた新庭もあります。
ちなみにこちらの新庭も安藤忠雄氏の設計とのこと。
新庭の向こうに見えるのが、司馬遼太郎記念館です。
建物の設計を手掛けたのは建築家の安藤忠雄氏が率いる安藤忠雄建築研究所。
安藤忠雄建築研究所といえば、以前このブログではこども本の森中之島や、こども本の森神戸をレポートしましたが、司馬遼太郎記念館も大きく弓形にカーブする外観とコンクリートの壁一面に設けられた本棚が特徴の建物となっています。
関連記事
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2.司馬遼太郎の知を実体化したような記念館が面白い
記念館の入口はガラスと方建の透明なカーテンウォールで覆われたアプローチ空間となっていて、自然豊かな雑木林から人口の森のような空間に風景が切り替わっていきます。

アプローチは緩やかにカーブしているのではじめは建物のエントランスが見えないのですが、歩みを進めると同時に徐々に建物の入り口が見えてきます。

カーブしていることで透明なガラスに周囲の自然が映り込み、自然と人工物が混ざり合った空間に変化していきます。
アプローチだけで、こらから体験する文学館への期待感を演出しているのが面白いです。さすが安藤建築。

残念ながら建物内は撮影禁止なのですが、記念館の内部は高さ11メートルの吹き抜けの大書架が広がっています。
約2万冊の蔵書を収めた吹抜け空間は圧巻で、様々な資料を収集し、読み込み、作品に昇華させていった司馬遼太郎の偉業を空間から感じとることができます。
その他にも時期ごとに内容が変わる展示コーナーや、約150席のホールでみられる映像資料、司馬作品の文庫本を全てを揃えている書斎販売コーナーなど、様々な展示でに司馬遼太郎の業績や作品に触れることができます。
また、記念館では訪れた人の多さにも驚きました。
このブログでは過去に谷崎潤一郎や夏目漱石をはじめとする様々な文豪の記念館や文学館をレポートしましたが、一番賑わっていたのがこちらの司馬遼太郎記念館でした。
それだけ大衆に愛される作品を描いていたのだとしみじみ感じました。

せっかくなので販売コーナーで未読だった文庫本を購入。

記念館を楽しんだ後は敷地の奥にひっそりと佇む花供養碑を見学。
この歌碑は2006年に大阪の河内長野市にあった文化・リゾート施設から移設されたもので司馬遼太郎の自筆の歌が彫られています。
素敵な記念館の展示と空間をたっぷりと堪能してこの日の本棚巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。
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司馬遼太郎記念館
住所:大阪府東大阪市下小阪3-11-18
アクセス:八戸ノ里駅から徒歩約8分
オープン年:2001年
開館時間:10:00~17:00
休館日:月曜日、年末年始、特別資料整理期間
入館料:大人800円、高校生・中学生400円、小学生300円
ホームページ:https://www.shibazaidan.or.jp/