愛知「森鴎外・夏目漱石住宅」かつて2人の文豪が暮らした邸宅をレポート

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今回は愛知県の犬山市にある博物館 明治村に移築された旧森鴎外・夏目漱石住宅を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

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1.近代建築の聖地明治村の文学スポットを訪問

今回訪れた博物館 明治村は、名古屋駅から高速バスで約1時間20分のところにある野外の建築博物館です。
犬山市の郊外にある約100万㎡の広大な敷地に、森鴎外や夏目漱石といった文豪が暮らし、数々の名作を生み出された住宅が移築されていると聞き、早速訪れてきました。

この博物館明治村は、東京オリンピックの翌年である1965年にオープンしました。
この高度経済成長只中の日本では、急速な都市開発により、貴重な建築群が怒涛の勢いで建て替えられていくことになりますが、明治村ではそれらの建築群を移築・保存して後世に残すことを目的に開村しました。

1960年代といえば、以前レポートした日本近代文学館がオープンしたのもこの時代でした。日本近代文学館では高度経済成長期の日本において文学資料が散逸しつつあることを危惧した作家や研究者らの呼びかけにより発足されました。
戦後の復興が一段落したあと、急速に失われたり散逸していく過去の文化や遺産に対する危機感が募り、またそれらを保存するできるまでに日本社会の復興が進んだ時代でもありました。
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博物館明治村へのアクセスは、名古屋駅前から名鉄バスに乗って約1時間20分ほど。

明治村のバス停を降りて、まずは「入村」手続きを行います。
入村手続きでは、村内に入る為のチケットを購入します。
チケットは園村内のすべての建物が見られる通常のチケットと、それに加え明治村内の鉄道やバスに乗り放題のチケットから選べます。

【入村チケット】(乗り物1日券は別途+1300円)
 大人:2000円
 シニア(65歳以上)、大学生:1600円
 高校生:1200円
 中学生、小学生:700円
※価格は記事執筆時のものです

今回は村内の建物を一通りみる予定でしたので、乗り物1日券のセットチケットを購入しました。明治村の敷地は約100万㎡ほどの広大な面積なので、この乗り物券セットはかなり役立ちました。

2.森鴎外と夏目漱石が暮らした邸宅をたっぷりと堪能

50を超える建物や遺構が移築される明治村の敷地は、1丁目~5丁目の5つのエリアに分かれています。
今回の目的地である森鴎外・夏目漱石住宅は1番手前の1丁目エリアにあります。

紅葉のトンネルを抜けると、木造平屋建ての住宅が徐々に姿を表します。
この建物は、元々は1887年(明治20年)ごろに医学士であった中島襄吉の邸宅として建てられたもの。
明治時代に建てられた住宅は、移築保存されているものを除いてかなり珍しいので、ワクワクしながら足を踏み入れます。

この建物があった文京区千駄木町は、旧帝国大学が近いこともあり多くの作家や文化人が住んでいたことでも知られるエリア。

この邸宅には、漱石の住む10年ほど前の1890年から森鴎外が1年ほど暮らしていました。
森鴎外といえば以前千駄木に建つ区立森鴎外記念館を紹介しましたが、若き日の鴎外も一時期この家に住んでいたのはとても興味深いです。
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客間には森鴎外と夏目漱石のパネルが。
パネルには身長と体重が書かれているのが面白いです。

内部は当時の邸宅を再現しつつ、かなりきれいな状態で保存されていて、当時の生活が目に浮かぶようです。

邸宅内部は畳敷の居間や寝室、茶の間や客間が連続するこの時代の典型的な住宅となっていて、平屋の建物ですがかなり広々とた空間となっています。

夏目漱石がこの邸宅に引っ越してきたのは、森鴎外が住んでから10年以上経った1903年ごろ。
この頃この邸宅は、漱石の友人でもあった歴史学者の斎藤阿具のものとなっていましたが、その縁で英国留学から帰国した漱石が暮らすことになります。
書斎として使われていた南側の座敷スペースは当時としてはまだ珍しいものだったそうです。

シンプルだけれど均衡が取れ、凛とした美しさのある建物がとても素敵です。
明治村は都市部からは少し離れた広大な敷地に建っているので、庭から飛び込んでくる景色や、入り込んでくるそよ風も心地よいです。

書斎には漱石が使っていた机や筆記具、火鉢などが置かれていて、当時の文豪の気分が味わえます。
書棚の前をはじめ床に積まれた本も漱石らしくて微笑ましいです。

漱石は、この家でデビュー作となる「吾輩は猫である」を執筆します。
吾輩は猫であるにでてくる様々なシーンの中にはこの家をモチーフにしたものやインスピレーションを得たものもあり、まさに吾輩は猫であるが生まれた場所となっています。

書斎の南側には外を見上げる猫の像があり、人気の記念写真スポットにもなっています。

かつて文豪が暮らした邸宅をたっぷりと堪能して、この日の本棚巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。


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森鴎外・夏目漱石住宅
住所:愛知県犬山市字内山1
旧住所:東京都文京区千駄木町
竣工:1887年ごろ
移築年:1964年
備考:登録有形文化財

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