今回は上野にある老舗の鰻屋さんである鰻割烹 伊豆榮(いずえい)を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
1.かつての文豪も通った上野の老舗鰻店を訪問
今日訪れたのは、東京上野の不忍池のほとりに建つ老舗の鰻屋さんである伊豆榮(いずえい)です。
伊豆榮は、多くの鰻屋が生まれた江戸時代中期に創業し、明治時代に入ってからは文化人に愛される店としても知られるようになった鰻屋さんです。
現在の伊豆榮は7階建ての建物となっていますが、かつては谷崎潤一郎や森鷗外らもその味を愛し、作品の中にも度々登場しています。
もともと今回伊豆榮を訪れたのも、谷崎潤一郎の短編「ハッサン・カンの妖術」の中にこのお店が登場したのがきっかけでした。
ハッサン・カンの妖術は、谷崎自身をモチーフにしたと思われる主人公が、上野の帝国図書館でインド人・ミスラと知り合い、懇意になるところから物語が始まります。
どうです、今ちょうど六時ですが、少し其の辺を散歩して、一緒に晩飯をたべてくれませんか。
(中略)
その番「玄奘三蔵」を書き上げるのに必要な事項を、予が一と通り聴き取った場所は、池ノ端の「いず栄」の二階であった。
(中略)
彼は非情に物をよく喰う男であった。器用な手つきで箸を使いながら、二人前の中串の鰻を見るみるうち平らげてしまったが、片手は絶えず杯に触れて居た。
潤一郎ラビリンスⅥ 異国綺談 ハッサン・カンの妖術 より
ちなみにこの小説の中にでてくる帝国図書館は、現在は以前このブログで紹介した国際子ども図書館となっているというのも面白いところ。
谷崎の時代の建物は、現存するものは僅かではありますが、現在もいくつも残され、保存・改修されながら使われ続けています。
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エントランスを入ってすぐのスペースには、かつての伊豆榮の店舗の模型やミニチュア人形が飾られていたりして、ちょっとしたミュージアムのようになっているのも面白いです。
この日は友人たちと待ち合わせをしていたので、メンバーが集まるまでしばしこの待合スペースを堪能しました。
待合スペースは昔の写真や古い家具箪笥なども置かれていて、興味深く拝見しながら時間を過ごしました。
2.不忍池を望む絶景を楽しみながら絶品鰻重を堪能
メンバーが揃ったらエレベーターで客席に案内してもらいます。
現在の伊豆榮は7階建ての各フロアにテーブル席、座敷席、掘り炬燵席など様々なタイプの客席が用意されています。
座席は200席を超える規模ですが、特に週末は多くの人々で賑わう人気店となっているので、特に週末であれば事前に予約するのがオススメです。
この日案内して頂いたのは、最上階の7階のテーブル席。
一面の大開口から上野公園を一望できる開放的なお席にテンションがあがります。
最上階の天井の照明は天の川のようなデザインとなっているのも素敵です。
シャンデリアの光に照らされることで、うっすら星のシルエットが浮かび上がってきるのも面白いです。
早速お目当ての鰻を注文します。
お品書きのデザインも素敵です。
この日は、うな重の梅をチョイスしました。
伊豆榮では松竹梅は梅が最上となっているので、一番豪華なお重です。
ちなみに等級を表す松・竹・梅は、もともとの瑞祥としては優劣があるものでありません。
現在では松を最上級とし、続いて竹、梅とすることが多いでが、梅を最上級とするお店もあって、伊豆榮は後者です。
注文をしてしばらくすると、食欲をそそるうなぎの香りと共に鰻重が運ばれてきます。
蓋を開けると、思わずわぁっと声を上げてしまいそうな輝く鰻とご対面。
香ばしく脂ののった鰻に秘伝のタレが絡み合ううな重は絶品でした。
ご飯も美味しく感じるのは、染み込んだ秘伝のたれのおかげでしょうか。
ボリュームのあるお重でしたが、あっという間に完食してしまいました。
こちらのう巻きも、ふくっらした卵と鰻がマッチしていてとても美味しかったです。
絶品の鰻重を楽しんだ後は、不忍池とその向こうに見える上野の風景を楽しみながら一息つきます。
かつて文豪が味わった伝統の味をたっぷりと堪能して、この日のブックスポット巡りは大満足のものとなりました。
とてもオススメのうなぎ屋さんなので、皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。
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鰻割烹 伊豆榮
住所:東京都台東区上野2-12-22
アクセス:上野駅から徒歩約4分
創業:江戸時代中期
営業時間:11:00~21:00
ホームページ:https://izuei.co.jp/
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