こんにちは、やまです。
今日は大阪中之島ににあるこども本の森 中之島を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
1.建築界の巨匠が、大阪の子供たちの為につくった図書館
今日は東京から少し離れ、大阪の中之島エリアに建つ図書館 こども本の森 中之島を訪れてきました。
大阪の中之島エリアと言えば、大阪駅・梅田駅の南の堂島川と土佐堀川に挟さまれた全長3kmほどの中洲の土地であり、古くから大阪の経済と文化の中心エリアとして栄え、大阪市役所や日本銀行大阪支店、府立中之島図書館や大阪市中央公会堂といった建物が立ち並ぶエリアです。
この中之島の東エリアに2020年にオープンした図書館が、今回訪れたこども本の森 中之島です。
この施設の企画・設計は世界的にも著名な建築家の安藤忠雄氏が行っただけでなく、その建設費も負担をして、完成後は大阪市に寄贈する形で運営がスタートしました。
安藤忠雄氏といえば、大阪生まれ・大阪育ちの建築家として世界的にも評価されている建築家。
安藤氏は建築家としてまだスタートしたばかりの頃、大阪やこの中之島に(誰に頼まれた訳でもない)建築プロジェクトを提案してきたことは、建築好きの間では有名な話。
そんな安藤氏が、未来を担う子供たちの施設を自らの資産と経験でつくったというのは何ともスケールが大きな話です。
ちなみに安藤氏はこのブログでも前回紹介した国際子ども図書館の改修設計を手掛けています。
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・国際子ども図書館を見学!100年の歴史が詰まった空間を堪能せよ【図書館巡り】
そんな安藤氏がデザインした図書館を訪れたいとチャンスを窺っていたのですが、今回機会があって訪れることができました。
こども本の森 中之島が建つのは、地下鉄中之島線のなにわ橋駅を出てすぐの場所。
ちなみにこの「なにわ橋駅」も安藤忠雄氏のデザイン。特にお気に入りなのは4番出口のデザインなので、建築好きは、少し遠いですがこちらの出口からアプローチするのがおススメです。
4番出口を出て1分ほど歩くと弓を描くようなカーブと、コンクリート打ちっ放しの外観がみえてきます。
階段を上がった先がエントランスになっていて、大きな大屋根で囲われた建物をフレームに、堂島川越しの大阪の街が見えます。
この図書館のトレードマークにもなっている巨大な青りんごは「永遠の青春」と名付けられたオブジェで、アメリカの実業家・詩人、サムエル・ウルマンの詩「青春」をモチーフに安藤氏自らがデザインしたもの。
青いリンゴからは、いつでも、いつまでも青春と挑戦はできるのだという希望と可能性に満ちたメッセージが感じられます。
コンクリート打ちっ放しの建物は、堅牢で強固な建築としてのイメージと、中之島全体の地形や環境と呼応するようなイメージの両方を感じることができます。
上野の国際子ども図書館では、古い建物にあえて現代的な要素をぶつけることで、どちらの要素も際立たせるデザインとしていました。
こここども本の森 中之島でも、安易に自然迎合することのないデザインを選択することで、中之島の緑や川といった自然の要素をより際立たせているのはとても安藤氏らしいです。
2.本の出会いがたっぷり楽しめる仕掛け溢れる館内を散策
外部は武骨なイメージでしたが、内部に入ると印象が一変。
木質の本棚と明るい天井がどこまでも伸びる美しい空間が広がります。
ちなみにこども本の森 中之島の入館料は無料。
当面の間は予約が必要ですが、基本的には誰でも訪れることができます。
内部は沢山の本棚に囲まれながらも自然光が溢れる光の演出が効いていて、時間や外の天気の変化を感じられる優しい空間でした。
来館者は平日ということもあって、小さな子供連れの親子が6割くらいでしたが、その他にも学生から中高年の来館者まで様々でした。
建物は細長いチューブ状ですが、階段の下や家具の下など様々な空間がさりげなくつくられていて、特に子供は思い思いの居場所を見つけて本を読んでいたのが印象的でした。
全部で3フロアある建物は中央の大階段によって繋がれているのですが、この大階段は単なる昇り降りの為の階段ではありません。
この図書館はすべての場所が、本を読むための場所としてデザインされているので、この大階段も人気の読書スポットでした。
館内はまるで本の迷宮のように回遊できるようになっていて、館内を散策しながら目についた本を開いて読むという、図書館ならではの本との出会いが堪能できます。
この図書館では、通路から階段、開口部に至るまで、すべてが丁寧に子供の目線でつくられているのも注目ポイントです。
大人にはちょっと狭く感じる通路でも子供にとっては、ワクワクの冒険道。ただし、走った子供がぶつからないように手すりはしっかり格子状の向こうが見える手すりになっているあたりは、設計者の丁寧な配慮が感じられます。
この他にも、ちょっと低めの開口部は子供の目線で見るとちょうど外の川が見える位置になっていたり、子供だけがちょうど入れるとっておきのスペースがあったり、楽しい仕掛けが満載でした。
その他にも「言葉の彫刻」と名付けられた、短文が施設全体に散りばめられていたりと、本や言葉との出会いを演出するしかけが溢れていて、大人目線で見てもどこか宝探しをしているような感覚になりました。
3.館内を心行くまで堪能!色々な発見がある図書館
建物はコンクリートで覆われていることもあって、大阪の街の喧騒からは一歩距離がおかれた安心感がある空間。
そんな空間の中でも、こちらの1階の広場のように適度に外部の空間や環境と繋がっているのも素敵でした。
この外部の空間はイベントスペースとしても使われているそうです。
また、1階にはイベント・セミナーの為の部屋も用意されていて、屋内イベントはこちらで行っているようです。
ワークショップなんかも度々開かれているようなので、気になった方は是非チェックしてみて下さい。
1階でもう1つ注目なのでは、1階奥にあるこちらのシリンダー状の空間です。
休憩室と名付けられたこちらのコンクリートの空間は、木質の本棚に囲われた空間とはちょっと違った静寂さと空間感を持っています。
また、壁にはデジタルアート集団のライゾマティクスが手掛けたプロジェクションマッピングも見ることができて、本棚の空間とは一味違った建築の空間と、デジタルアートの世界を体感することができます。
最後に1階の階段の近くにあった謎のボックス。どう見ても国民的アニメのアイテムを思わせるデザインですね 笑
こういう遊び心も面白いですね。
子供の為の図書館と聞いていましたが、大人にとっても新しい発見や思わぬ本との出会いが満載のとっても素敵な本棚空間でした。
皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。
【思わず本や雑誌が読みたくなるおススメ本】
書評誌として本好きに知られる「本の雑誌」創刊からのストーリーを描いた話題の漫画です。
本と出会い、本を通じて世界と繋がっていくワクワク感。ともすれば社会不適合といわれる本好き達が、本を通じて大きなうねりとなってその輪を広げていくのを目撃する嬉しさはもはや快感です。
本を通じて躍動し、積み重ね、受け継がれていく人生が濃厚に詰まったおススメ漫画です。この時代を知る人は懐かしく、知らない世代は新鮮に読めるのもおススメポイントですが、時代が変わっても変わらない本や活字への愛と情熱もひしひしと感じます。
むしろ私は「この本に出会えてよかった」と思ってしまった素敵過ぎる一冊です。
本の雑誌の「神保町」特集をまとめたこちらの書籍もおススメです。
古書店だけでなくグルメからスイーツ、楽器や古典芸能など神保町のディープな魅力が凝縮した一冊。
神保町MAPもついているので、気になった人は是非チェックしてみてくださいね。
こども本の森 中之島
住所:大阪府大阪市北区中之島1-1-28
アクセス:なんば駅から徒歩約1分
オープン年:2020年
開館時間:9:30~17:00
休館日:月曜日、蔵書整理期間、年末年始
ホームページ:https://kodomohonnomori.osaka/
※記載の内容は記事執筆時点のものですので、訪れる際はホームページ等で最新の情報を確認してください
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