エッセイ 谷崎潤一郎『陰翳礼讃』翳りの奥にみる想像力と美の世界 1.翳りの中に美しさを見出す谷崎の傑作エッセイ今日紹介するのは谷崎潤一郎「陰翳礼讃」。この本は、近代化によって急速に浸透しつつあった西洋文化に対して「陰翳」に潜む美意識と奥深さについてのエッセイだ。著者の谷崎潤一郎といえば近代日本を代表する文豪のひとりだけれど、この陰翳礼讃には谷崎のエッセンスが詰ま... 2025.07.19 エッセイ
日本文学 『卍』~マジで卍な恋模様~ 谷崎潤一郎というと、みなさん何を思い浮かべるだろうか。「『春琴抄』とか『細雪』はタイトルだけ聞いたことあるな」「確か女の人の脚が好きなおじさんじゃなかったっけ」「変態文学の人でしょ?」と、まあ各自なんとなくのイメージをお持ちのことと思う。わたし自身は、二十代半ばまで谷崎に「恥ずかしげもなくジジイの性... 2023.12.19 日本文学
海外文学 『クリスマス・キャロル』~強欲ジジイのハートフル改心物語~ 『クリスマス・キャロル』といえば多くの人が題名くらいは何かしらで聞いたことがあるのではなかろうか。ミュージカルや映画を観たことがあるという人もいるかもしれない。では、原作の物語を読んだことがある人は?もしかしたら、有名な作品のわりに(もしくは有名な作品だからこそ)意外と少ないのではないだろうか。(最... 2023.12.09 海外文学
エッセイ 『方丈記』私をとりまく小宇宙としての家 コロナ禍が訪れて間もない頃、ひょんなことから鴨長明の方丈記を読んだが、これがかなり面白かった。「方丈記」は、「枕草子」「徒然草」と並び日本三大随筆の一つという知識だけはあったので、さぞ古めかしい内容なのかと思っていたら、逆に人の世は800年では本質的には何も変わらないのだと思い知らされた。方丈記の方... 2023.07.08 エッセイ