今回は長野県の松本市にオープンしたブックストア松本十帖 松本本箱を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
1.昔ながらの温泉街浅間温泉のホテルを改修したブックストアを訪問
今回訪れたのは長野県の松本駅からバスで30分ほどの場所にある浅間温泉です。
浅間温泉は約1000年前に開湯したとされる歴史ある温泉で、今も昭和の温泉街の空気を色濃く残す温泉地でもあります。
今回訪れた松本十帖は、江戸時代初頭の1686年に創業した老舗旅館である小柳を中心としたリノベーションプロジェクトで生まれたスポットです。
近年では他の地方都市と同じく観光客の減少や若者の減少といった問題が顕著になってきた老舗旅館を改修し、ブックストアやレストラン、近隣のカフェと共に再生するプロジェクトが松本十帖です。
松本駅からバスに乗り、松本城を通り過ぎて程なく進むと浅間温泉に到着です。
最寄りのバス停から3分ほど歩くと今回の主目的である松本本箱に到着します。
松本本箱は古い旅館の一部を改修したHOTELですが、その中につくられたブックストア松本本箱は、事前の予約は必要となりますがホテルの宿泊客でなくても利用できます。
予約は公式ホームページから行い、入場料は無料。
私が訪れたのは週末で、当日でもなんとか予約ができましたが、時間などを細かく指定したい場合はなるべく早く予約しておくのがオススメです。
また、松本十帖では、ブックストアの他にも旅館併設のベーカリーやレストラン、徒歩圏内の少し離れたところに建つカフェ「おやきとコーヒー」、ブックカフェ「哲学と甘いもの」などいつくかの施設が合わせて整備されているので、日帰り観光でも十分楽しめます。
2.老舗旅館をリノベーションした本屋空間が面白い
バス停を降りて、緩やかな坂道を登っていくと松本本箱の建物が見えてきます。
のれんをくぐり入口をはいり向かって右側がブックストアの入口となっていて、予約時に発行されるQRコードを使って入場します。
ゲートはいってすぐのスペースは、自然光が差し込む導入ゾーンです。
ここでは話題の新刊や雑誌を始めとした本が中心に並べられていて、茶屋の休憩処のようなベンチで気軽に気になった本を読むことができます。
ちなみに松本本箱は、ブックストアなので置かれている本は実際に購入することもできます。
長細い空間を進んでいくと、テーマごとに様々な本棚が連なる空間に変化していきます。
途中からは靴を脱いで赤いカーペットの空間にあがるのですが、最初の導入空間から徐々に松本本箱のディープな本の世界にはいっていくような演出が素敵です。
ちなみに本の選書は選書家・ブックディレクター・編集者であるBACHの幅允孝氏が行っています。
幅允孝氏は松本本箱の改修デザインを手掛けた建築設計事務所のSUPPOSE DESIGN OFFICEとよくコラボもしている選書家です。
私も東京都内では何箇所か幅允孝氏とSUPPOSE DESIGN OFFICEがコラボしたブックスポットを訪れたことがありましたが、まさか松本でも出会えるとは。
店内はコンクリートの躯体やむき出しの配管による荒々しくもスタイリッシュな建築と、洗練られた和のデザインが組み合わさった空間となっています。
松本本箱は昔の旅館時代の建物を活かした本屋になっていて、例えば地下1階にある「こども本箱」では元々大浴場だった空間をそのまま活用しているのが特徴です。
洗い場の蛇口をそのまま残した迷路のような本棚や、大きな浴槽を使ったボール風呂は子どもに大人気。
よく見ると天井からぶら下がる照明の傘が風呂桶だったりと、遊び心溢れるデザインとなっています。
3.オトナも楽しめる2階スペースも必見!惚れ惚れするような本棚空間を堪能
2階のスペースも元大浴場を活用した空間ですが、こちらはオトナをコンセプトにしています。
元々脱衣所だったスペースは、半個室スペースとなっていてゆっくりと本の世界に浸れます。
地下が子どもを中心としたスペースだったのに対して、こちらはカップルの姿が多い印象で、仲睦まじく本を読んでいる姿がよくみられました。
2階のスペースでも元々あった洗面台を活用していたりして、旅館時代の歴史を感じる空間が所々に残されているのが素敵です。
大浴場の中は、鏡面素材の天井に本棚が反射し、どこまでも本棚が伸びているような圧倒的な空間が広がります。
色違いも艶やかで、まさにオトナの空間。
こちらも水栓や剥き出しのコンクリートから空間の迫力と歴史がダイレクトに伝わってきて、老舗旅館をリノベーションしたからこそできるここだけの本屋となっています。
4.浅間温泉&松本でブックカフェ巡り!
松本本箱を楽しんだ後は浅間温泉と松本への帰り道で気になっていたブックカフェをハシゴしました。
はじめに訪れたのは、松本本箱から坂道を程なく登ったところにある哲学と甘いものという名のブックカフェ。
こちらは松本十帖の施設の一つで古い商店を改修してつくられた趣のある店舗です。
「考えるための喫茶店」をテーマにしたブックカフェで、哲学書を中心とした本が並んでいます。
考えすぎて疲れてきたら脳に糖分をというコンセプトから、甘いおやつが名物となっています。
古い温泉街らしい情緒溢れる雰囲気と、陰影豊かな空間で物思いに耽れるオススメカフェです。
詳細記事
・松本「哲学と甘いもの」古民家を改修したを温泉街のブックカフェをレポート
続いて訪れたのは、松本本箱から西に5分ほど歩いたところにある手紙舎 分箱(ふばこ)です。
手紙舎は東京都の調布市を中心にカフェや雑貨の販売を行っていて、私も以前調布市の柴崎駅近くの本とコーヒーtegamisha(2023年10月に閉店)を訪れたことがある思い出のお店でした。
こちらは本だけでなく雑貨やステーショナリーも充実していたり、自家製のコーヒーを味わえます。
この日は、お土産にコーヒーとおやつをゲット。
松本駅方面に戻るバス停(ホットプラザ浅間前)が直ぐ目の前にあるので、浅間温泉を訪れた際には是非立ち寄ってみてください。
最後に訪れたのは、松本駅東口エリアのあがたの森通り沿いに建つ栞日です。
こちらは元々は街の電気屋さんだった店舗を改修した本屋兼ブックカフェです。
古材をリサイクルしてデザインされた内装や味わい深い家具が並ぶ店内は、秘密基地のようなワクワク感と懐かしさが漂う素敵な空間となっています。
東京都内の本屋には並んでいない地方誌やZINEも並んでいるのも、とてもよかったです。
松本本箱をはじめ松本の素敵すぎるブックスポットをたっぷりと堪能して、この日の本棚巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットばかりでしたので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。
【思わず本や雑誌が読みたくなるおススメ本】
書評誌として本好きに知られる「本の雑誌」創刊からのストーリーを描いた話題の漫画です。
本と出会い、本を通じて世界と繋がっていくワクワク感。ともすれば社会不適合といわれる本好き達が、本を通じて大きなうねりとなってその輪を広げていくのを目撃する嬉しさはもはや快感です。
本を通じて躍動し、積み重ね、受け継がれていく人生が濃厚に詰まったおススメ漫画です。この時代を知る人は懐かしく、知らない世代は新鮮に読めるのもおススメポイントですが、時代が変わっても変わらない本や活字への愛と情熱もひしひしと感じます。
むしろ私は「この本に出会えてよかった」と思ってしまった素敵過ぎる一冊です。
本の雑誌の「神保町」特集をまとめたこちらの書籍もおススメです。
古書店だけでなくグルメからスイーツ、楽器や古典芸能など神保町のディープな魅力が凝縮した一冊。
神保町MAPもついているので、気になった人は是非チェックしてみてくださいね。
松本十帖 松本本箱
住所:長野県松本市浅間温泉3
アクセス:松本駅からバスで約30分、下車後徒歩約3分
オープン年:2020年
入館時間(日帰り):12:00~16:00
入館料:無料
備考:要予約(日帰り利用者)
ホームページ:https://matsumotojujo.com/journal/
手紙舎分箱
住所:長野県松本市浅間温泉1-30-6
アクセス:松本駅からバスで約25分
営業時間:10:00~16:30(季節によって変動あり)
定休日:火曜日、水曜日
オープン年:2022年
栞日
住所:長野県松本市深志3-7-8
アクセス:松本駅より徒歩約12分
オープン年:2016年
営業時間:7:00~20:00
定休日:水曜日
ホームページ:https://sioribi.jp/
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