十条「北区立中央図書館」大正時代の兵器庫を改修した図書館をレポート

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こんにちは。やまです。
今日は東京都内にある図書館の中でも特にお気に入りの北区立中央図書館をレポートしたいと思います。

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1.旧陸軍の煉瓦倉庫を改修した市立図書館がスゴい

北区立中央図書館は、北区の十条駅と東十条駅のちょうど中間地点、駅から歩いて10分ちょっとの場所にある区立の図書館。
この図書館がオープンしたのは2008年と比較的新しい図書館ですが、実は戦前に日本軍が兵器庫として使っていたレンガ倉庫を改修してつくられた図書館です。

北区の十条といえば、自衛隊の十条駐屯地があることでも知られていますが、その十条駐屯地のすぐお隣に建つのがこちらの図書館です。
この一帯は、戦前東京砲兵工廠銃包製造所として旧日本軍の工場や倉庫が建てられていて、この図書館も大正時代の1919年に軍の倉庫としてつくられたもの。

これらの倉庫群は、戦争が終わった後は後はアメリカ軍に接収されて、戦車の整備工場として使用されたり、土地返還後は陸上自衛隊の駐屯地として使われてきましたが、2000年を過ぎたあたりの陸上自衛隊の施設再編計画によって北区に管理が移管されて、図書館として生まれ変わることになりました。

隣接する公園から歩いてくると、赤煉瓦と現代的なガラスとコンクリートの外観が徐々に見えてきます。
建物の改修を行った佐藤総合計画は、歴史的な建物と文化施設が融合した建物をいくつも手掛けていて、この建物は日本図書館協会建築賞などの建築賞も受賞しています。

2.新旧が融合した図書館のさりげない工夫に注目

建物は3層構造になっていて、1階が一般開架室書架とカフェ、北側エントランス、2階がこども図書館や東側エントランス、3階が閉架室書架と職員やボランティアの方向けの事務スペースという構成。

高低差がある敷地なので幹線道路に面する2階の東側エントランスと、公園に面する1階の北側エントランスの2つの入り口があります。
東側エントランスはスタイリッシュで現代的な外観ですが、北側にまわると赤煉瓦の近代建築が顔を出すのが面白いです。

古い建物をそのまま使うのではなく、機能的に必要な部分は追加した上で、新旧の要素が対比するようにデザインされているのが特徴です。

例えば、赤煉瓦の元倉庫部分に対して、あえてガラスとコンクリートのモノトーンの素材をくっつけることで、赤煉瓦の風合いがより際立ちます。
また、赤レンガの三角屋根に対して、コンクリートの増築部分は四角い矩形の形になっているのも対比のテクニック。

敷地をぐるりと周ると、100年前の建築から、徐々に現代建築へとタイムトリップするように変化を楽しめるのも、近代建築ファンとしてはたまりません。
近所の人が本当に羨ましいです。

1階分高くなっている東側部分は、ドライエリアと呼ばれる光庭が設けられているので、外の喧騒や視線からは1歩距離を置きつつ、光や風は入ってくる気持ちのいい図書館となっています。

3.赤煉瓦の倉庫の特徴を100%引き出した図書館が素敵過ぎる

図書館の中でも、現代と近代とを行き来するような素敵な空間体験ができます。

北側エントランスから中に入ると、赤煉瓦の倉庫の外壁部分がそのまま内装となっていて、ここの奥が書架とカフェになっています。

元々は兵器庫として使われていた空間なので天井がかなり高めなのですが、この元倉庫部分は天井高さを活かした開放的な書架・カフェとなっていて、他の図書館ではなかなか味わえない開放感があります。

屋根を支えるために追加された構造材が、書架と同じように規則正しく並ぶ様がとても美しいです。
写真右手側の天井が低い部分から窓際に歩いていくと、ふわっと天井高が高くなる演出がとても素敵でした。
訪れる前は100年前の図書館を改修した図書館ってどんな図書館何だろうと思っていましたが、窓際の読書スペースもとっても居心地がよくて、まさに赤煉瓦の建物の良さを100%引き出した図書館といえます。

建物の面積でみるとには図書館の中の元倉庫部分はごく一部で、増築された現代建築部分のほうが多いのですが、元倉庫と現代建築部分を繋ぐ部分がそれぞれ特徴的な空間になっているのも注目ポイント。

こちらは南側の渡り廊下部分ですが、連結部分は中庭やテラスなどになっていて、建物の中で度々出てくるこの外部空間部分が、明るく開放的な図書館の秘密にもなっています。
この日は残念ながら雨が降っていて外には出れませんでしたが、テラスの青空の下で読書なんていうのもよさそう。

この他にも1階は約3000㎡の大きなワンフロアとなっていますが、こちらの眺めも壮観です。
沢山の本が一挙に並ぶ光景は図書館の醍醐味の一つでもありますが、この吹き抜け階段に建物の構成や、今自分がどこにいるのかが分かりやすくなっているのもよかったです。

100年以上前の建物を活用しつつ、現代に暮らす人たちにとっても快適で、知的好奇心をくすぶる魅力的な図書館となっていることは本当に驚きます。
区立の図書館で誰でも利用することができるので、興味を持った人は是非訪れてみて、素敵な読書&図書館体験を味わってみて下さいね。

北区立中央図書館
住所:東京都北区十条台1-2-5
アクセス:十条駅・東十条駅から徒歩約12分、王子駅から徒歩約15分
開館時間
 平日・土曜日:9:00~20:00
 日曜日・祝日:9:00~17:00
休館日
 第1・3・5月曜日、月一回の館内整理日、年末年始
オープン年:2008年

※記載の内容は記事執筆時点のものですので、訪れる際はホームページ等で最新の情報を確認してください

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