竜泉「一葉記念館」樋口一葉の足跡を辿る素敵な記念館をレポート

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今日は台東区の竜泉エリアに建つ樋口一葉の記念館である「一葉記念館」を体験してきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

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1.たけくらべの舞台にもなったエリアに建つ樋口一葉の記念館を訪問

今日は上野駅から電車で約4分の三ノ輪駅にある樋口一葉の記念館を訪れてきました。

樋口一葉は明治時代の1872年に生まれ、1896年に若干24歳で亡くなった小説家であり、没後から100年以上経った2004年には5000円札の貨幣の肖像にもなった人物としても知られています。

駅をでて10分ほど歩いた台東区竜泉エリアに、最初に樋口一葉の功績を称える記念館ができたのは1961年のこと。
吉原からもほど近いこのエリアは、若くして一家の生計を担うことになった一葉が駄菓子などを売る雑貨店を開いた場所であり、彼女の代表作である「たけくらべ」の舞台となったエリアでもあります。

現在の建物は、2006年に老朽化した旧建物を建て替える形で開館したもので、コンクリート躯体と建物全面のルーバーが特徴的な建物です。

この建物の設計を手掛けたのは建築好きでは知らぬ人はいない著名な建築家である柳澤孝彦氏。

柳澤氏は大手ゼネコンである竹中工務店に勤務後独立し、1994年にオープンしたを東京都現代美術館や、1997年オープンの新国立劇場など数々の作品を生み出した建築家です。

有楽町マリオン
有楽町マリオン

また、独立前は有楽町駅前のランドマークにもなっている有楽町マリオンの設計に携わっていて、建物の全面がマリオン(方立)によって構成された建物は当時大きな話題となりました。

今回訪れた一葉記念館もルーバー状のマリオン(方立)が建物の前面に使われているのが特徴。
このルーバーは、建物の内部の西日を弱め陰影による豊かな表情をつくりだしたり、建物と街との柔らかな境界をつくり出したり、町屋の雰囲気をつくりだしたりと様々な効果を併せ持っています。

柳沢氏のルーツである竹中工務店時代に手掛けた建物で試みた要素を、下町の記念館に応用しているのは隠れた注目ポイントです。

また、一葉記念館は貴重な資料や展示物を収蔵するという役割からも堅牢な鉄筋コンクリートによってつくられています。
このコンクリートをよくみると、建設時にコンクリートの型枠を工夫することによって木の木目が写し込まれていて、どこか温かみのある素材感になっているのも素敵です。

2.劇的で奇跡のような一葉の生の軌跡を辿る

正面ほ入口を入り、まずは受付でチケットを購入します。
一葉記念館のチケットは一般300円、小中高生100円。カウンターで料金を払ってチケットとパンフレットをゲット。

地上3階地下1階建ての建物は1階から3階建ての建物は長さ約30m、奥行き約10m程の小さな敷地いっぱいに建てられていて非常にコンパクト。
しかし僅か24年の生涯でその人生を終えた一葉の人生とリンクするように劇的で濃密な展示となっていて、まるでタイムトリップするかのように一葉の足跡を辿るような構成となっています。

尚、館内は限られた一部の展示品を除いて自由に写真撮影が可能です。

受付の左手にある導入展示は一葉の両親が生きた江戸~明治初期の時代の説明や、一葉の人生を俯瞰した年表などが展示されています。

エントランスギャリーを見たら、前面道路側の階段を通って上階のギャラリーを巡ります。
この階段は外からはルーバーで隠された簡素な空間でしたが、中からは自然光が溢れる開放的な空間となっています。
上からの光に導かれるように2階、3階と一葉の足跡を辿っていく演出は面白いです。

彼女の残した業績は、後に日本の紙幣の肖像になる程に優れたものでしたが、生前は決して順風満帆というわけではありませんでした。
裕福な家庭に生まれながら、十代で一家の大黒柱だった父を失い、生活苦や女性であることのハンディキャップにも苦しみます。
23歳ではじめての作品を発表し、わずが14ヶ月の間に「大つごもり」「十三夜」「たけくらべ」など今も読み継がれる作品を次々と生み出し24歳で病死。

この14ヶ月は「奇跡の14ヶ月」と言われているそうですが、その目を瞠るような才能の輝きと突然の死による絶望は、彼女の作品と同じくらい人生や生について考えさせられました。

展示室では彼女の短い人生を時系列を追いながら紹介しつつ、当時の写真や資料、生の原稿、実際に使っていた机などの家具が展示されていて、樋口一葉の人生に併走するようにその足跡を体験できます。

また、展示は実際の原稿などの資料の他に、当時の一葉が住んでいた雑貨屋の模型などの展示物も充実しているので、とても分かりやすく、当時の様子がイメージできます。

特に女性であることを理由に、成績優秀であったにも関わらず母からの助言で進学を諦めたり、生活苦によるお金のやりくりや一家の大黒柱であるプレッシャー、どうしようもないような無慈悲な現実と葛藤は胸が締め付けられるようでした。
一方で、まさに奇跡といえるような14ヶ月によって日本の文学史に深く名を刻む功績、死後100年以上の時を経ても受け継がれ、読み継がれる文学そのものの強さに深く感動させられました。

3階の展示空間を巡り終えた後はエレベーターで再び一階へ。
受付の右側のスペースがライブラリーと映像エリアとなっているので、こちらでひと休み。

展示を巡り終え、道路際のルーバー越しに外の景色が垣間見れるライブラリーコーナーに戻ると、一葉の生きた時代から、現代に戻って来たのだと改めて実感します。

尚、ミュージアムショップは一階の入口付近にあります。
樋口一葉の魅力と足跡を存分に堪能して今回の本棚巡りも大満足なものとなりました。
ややマイナーな記念館ですが、本当に素敵な施設でしたので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。


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■一葉記念館
住所:東京都台東区竜泉3-18-4
アクセス:三ノ輪駅より徒歩約10分
オープン年:2006年
開館時間:9:00~16:30
休館日:月曜、年末年始、特別整理期間中
入館料:
 大人   300円
 小中高生 100円
ホームページ:https://www.taitocity.net/zaidan/ichiyo/

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