今日は関東地方にある文学ファンにおススメしたい文学館について紹介したいと思います。
日帰りも行くことができ、との土地ならではの文豪や歌人ゆかりの資料や展示が満喫できる関東の文学館、早速紹介していきたいと思います。
1.日本近代文学館(東京駒場東大前)
まず初めに紹介する日本近代文学館は、駒場公園の一角に戦後の復興が進む1960年代につくられた文学館です。
当時、日本が急速に経済成長を遂げる中、歴史的にも価値のある様々な資料が散り散りになり失われてしまうことを危惧した文学者や研究者が中心となって計画された日本で初めての本格的な総合文学館がこちらの文学館。
長年に渡って蓄積された収蔵資料は100万点を超え、まさに日本を代表する総合文学館となっています。
1階のカフェBUNDAN COFFEE & BEERも人気で、文豪の名前や作品にちなんだ珈琲やアルコールを楽しめるブックカフェとなっています。
豊かな駒場公園の自然と、貴重な蔵書を楽しめるおススメのスポットなので、日本近代文学館を訪れた際は是非立ち寄ってみて下さいね。
詳細記事
・駒場「BUNDAN COFFEE & BEER」日本近代文学館併設のカフェをレポート
住所:東京都目黒区駒場4-3-55
アクセス:駒場東大前駅から徒歩約7分
オープン年:1967年
開館時間:9:30~16:30分
休館日:日曜、月曜、年末年始
観覧料(特別展・企画展):300円
ホームページ:https://www.bungakukan.or.jp/
2.世田谷文学館(東京芦花公園)
世田谷文学館は今から四半世紀以上前の1995年に、東京都の23区で初めて設けられた地域総合文学館です。
世田谷区は東京都の中でも小説家や文学関係者が多く在住していたエリアですが、世田谷文学館では数百人とも言われる世田谷区ゆかりの文学関係者の資料が展示されています。
収蔵するコレクションは10万点以上あり、貴重な資料を展示する常設展の他、趣向を凝らした企画展にも定評があります。
1990年代に建てられた施設らしいハイテックなデザインと、世田谷の豊かな自然が融合した建物も魅力的で、特に隣接する池の水の光が反射するロビー空間と、中庭からの自然光が溢れる喫茶どんぐりはお気に入りの空間。
喫茶どんぐりは文学の足跡に触れた後の休憩にもひったりで、展示の余韻に浸りながら穏やかな時間を過ごせるおススメのスポットです。
詳細記事
・世田谷「世田谷文学館」の素敵過ぎる展示からライブラリー、ランチまでレポート
住所:東京都世田谷区南烏山1-10-10
アクセス:芦花公園駅から徒歩約6分
オープン年:1995年
開館時間:10:00~18:00
休館日:月曜日、年末年始
入館料(コレクション展):
一般:200円
大学生・高校生:150円
中学生・小学生:100円
65歳以上・障がい者:100円
ホームページ:https://www.setabun.or.jp/
3.早稲田大学国際文学館(東京早稲田)
早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリ―)は、早稲田大学出身で世界的にも著名な小説家・翻訳家の村上春樹氏から寄贈された資料や作品を展示・研究する文学館です。
早稲田大学のキャンパス内に建つ古い校舎を改修した建物は、建築家の隈研吾氏がデザインを手掛けていて、建物に一歩足を踏み入れると文学や翻訳の世界へ誘うトンネルのような空間が出迎えてくれます。
エントランスの吹き抜け空間は村上春樹の作品からインスピレーションを受けてデザインされていて、過去と未来、空想と現実、日本と世界を繋ぐトンネルとしても機能していて、訪れた人々をまだ見ぬ新しい世界へと連れて行ってくれるようです。
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・早稲田「村上春樹ライブラリー」2021年にオープンした話題の施設をレポート
住所:東京都新宿区西早稲田1-6
アクセス:早稲田駅から徒歩約6分
オープン年:2021年
開館時間:10:00~17:00
入館料:無料
ホームページ:https://www.waseda.jp/culture/wihl/
4.江戸川区角野栄子児童文学館(東京葛西)
江戸川区角野栄子児童文学館(魔法の文学館)は、魔女の宅急便などの作品でも知られる童話作家の角野栄子氏の名を関した児童文学館です。
江戸川沿いの公園の丘の上に建てられた建物は、白い外壁に花びらのような屋根が立体的に折り重なったようなデザインが特徴です。
館内に入ると雰囲気が一変。角野氏の作品の世界観をイメージしたというメルヘンチックなピンク色の空間が広がります。
関内は公園の緑や空を取り込みつつ、物語の世界に誘う見どころのしかけが満載。館内では子供が楽しそうに歩き回ったり本を読んでいたのが印象的でした。
小さなスケールの様々な要素が折り重なり、対比されたり調和しながら非日常的な世界観を実体化している文学館に注目です。
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・葛西「江戸川区角野栄子児童文学館」いちご色の世界が広がる素敵な児童文学館をレポート
住所:東京都江戸川区南葛西7-3-1なぎさ公園内
アクセス:葛西駅からバスで約10分
オープン年:2023年
開館時間:9:30~17:30
休館日:火曜、年末年始
入館料:
一般(15歳以上)700 円
こども(4歳~中学生)300円
その他:基本は事前予約制
チケットは江戸川区民割引などあり
ホームページ:https://kikismuseum.jp/
5.さいたま文学館(埼玉県桶川市)
さいたま文学館は、埼玉県にゆかりのある文学者の資料や作品を中心に収集・保存・展示する文学館です。
1997年に桶川市の市民ホールと一体的に整備され、正面を持たないリング状の回廊が建物の各機能を繋ぎながら、市民に開いた施設となるようデザインされています。
展示と連動した様々な企画にも定評があり、私が訪れたときは江戸川乱歩の「人間椅子」を体験できる催しが行われていて、人間椅子に座る側、人間椅子になる側の両方を体験だきるなど、ユニークな企画にも注目の文学館です。
住所:埼玉県桶川市若宮1-5-9
アクセス:桶川駅から徒歩約5分
オープン年:1997年
開館時間:
ホール・研修室:9:00~21:00(日曜日、祝日は~17:00)
図書室・展示室:10:00~17:30
休館日:月曜日、第4火曜日
入館料:一般210円
ホームページ:http://www.saitama-bungakukan.org/
6.田山花袋記念文学館
田山花袋記念文学館は、館林で生まれ少年期を館林で過ごした作家田山花袋(かたい)を記念してつくられた文学館です。
田山花袋は「蒲団( ふとん)」や「田舎教師」などの作品を著し、自然主義文学を確立した人物として知られる作家です。
館内には花袋の自筆原稿や著書、書簡、遺品等の貴重な資料の他、生まれ育った館林との関係や影響などの展示もあり、様々な側面から花袋の魅力を知ることができます。
詳細記事
・群馬「田山花袋記念文学館」館林ゆかりの作家の足跡と魅力を堪能できる文学館をレポート
住所:群馬県館林市城町1-3
アクセス:館林駅より徒歩約20分
オープン年:1987年
開館時間:9:00~17:00
休館日:月曜日
入館料 :大人220円、中学生以下無料
ホームページ:http://www.city.tatebayashi.gunma.jp/bunka/
ちなみに田山花袋記念文学館のすぐ向かいには、田山花袋が7歳から14歳までを過ごした田山花袋旧居が移築・復元されています。
この旧居は元々は市内に江戸時代に建てられた武家屋敷で、大小様々な5つの部屋から当時の生活を伺い知ることができます。
住所:群馬県館林市城町2-3
アクセス:館林駅より徒歩約20分
開館時間:9:00~17:00
定休日:月曜日
備考:館林市指定文化財
7.栃木市立文学館(栃木県栃木市)
栃木市立文学館は、今から100年以上前の1921年(大正10年)に栃木町役場の庁舎として建てられた建物を改修してできた文学館です。
栃木市といえば「蔵の街」としても知られ、今も多くの近代建築が残されて街の風景を形作っている街でもあります。
文学館の開館に際しては当時の写真や資料を参照しながら建物の復元も行われていて、大正ロマンの雰囲気が漂うハイカラな建物が新たな役割を担ってリューアルオープンしました。
館内では栃木市にゆかりのある山本有三、吉屋信子、柴田トヨらを中心にした資料が展示されていて、彼らも過ごした建物の中でその足跡を辿る事ができます。
詳細記事
・栃木「栃木市立文学館」築100年超えの町役場を改修した文学館をレポート
住所:栃木県栃木市入舟町7-31
アクセス:栃木駅から徒歩約20分
オープン年:2022年
竣工:1921年
開館時間:9:30~17:00
休館日:月曜日、祝日の翌日、年末年始
観覧料:
常設展 一般 220円
企画展 企画による
備考:国登録有形文化財
ホームページ:https://www.city.tochigi.lg.jp/site/museum-tclm/
8.神奈川近代文学館(神奈川県横浜市)
続いて紹介する神奈川近代文学館は、横浜の港の見える丘公園の高台に建つ文学館です。
神奈川県ゆかりの日本近代文学に関する資料を保存・展示・収集する文学館には、130万点を超える資料が保存されています。
神奈川近代文学館は特別展や朗読会などのイベントも数多く開催しているのも特徴。収蔵品も充実していて、夏目漱石、芥川龍之介、泉鏡花らをはじめとした文豪のコレクションや神奈川の街と関連付けられた様々な資料を見ることができます。
2023年には建物のピロティを改修してつくられた鮨喫茶すすすもオープンしていて、ささめ雪のチラシ鮨や梶井基次郎のレモンスカッシュなど文学作品にちなんだメニューも堪能できます。
住所:神奈川県横浜市中区山手町110港の見える丘公園内
アクセス:元町・中華街駅からバスで約10分
オープン年:1984年
開館時間:9:30~17:00
休館日:月曜、年末年始
入館料:閲覧室は無料、展示室は展示による
ホームページ:https://www.kanabun.or.jp/
9.小田原文学館(神奈川県小田原市)
小田原文学館は、明治時代から昭和初期に活躍した政治家 田中光顕氏の邸宅を改修した文学館です。
小田原と言えば、数々の文豪や文芸評論家ゆかりの地としても知られる場所。メインの建物である本館には尾崎一雄や北村透谷といった小田原出身の作家から、坂口安吾や谷崎潤一郎など小田原に居住していた文豪などの貴重な資料やその足跡が展示されています。
また、敷地内にはかつて尾崎一雄の邸宅であった「冬眠居」の一部が移設されていて、実物大の建物で文豪のかつての暮らしを知ることができます。
冬眠居の他にも本館以前に建てられた和館を改修した白秋童謡館があり、こちらの施設では小田原の地で数々の名作を生み出した童謡作家・詩人の北原白秋の足跡を辿ることができます。
入館料はリーズナブルですが、建物と空間全体を使ってかつての文豪について知ることのできるおススメの文学館です。
詳細記事
・神奈川「小田原文学館」で文豪たちの足跡を辿りながら素敵な建物を満喫
住所:神奈川県小田原市南町2-3-4
アクセス:小田原駅から徒歩約20分
開館時間:
3月~10月:10:00~17:00
11月~2月:10:00~16:30
休館日:月曜日、年末年始
入館料:一般250円、小・中学生100円
オープン:1994年
その他:登録有形文化財(本館、白秋童謡館)
10.鎌倉文学館(神奈川県鎌倉市)
鎌倉文学館は、元々は1936年に旧加賀藩前田家の当主前田利為氏の邸宅として建てられた邸宅を改修してつくられた文学館です。
鉄筋コンクリート造と木造、洋風建築と和風建築など異なる2つの様式を折衷してデザインされた建物自体も見どころが満載で、一時期は佐藤栄作元首相などの要人の別荘として使われたり、著名な文豪の作品の舞台となったこともあるなど歴史の蓄積を感じる文学館となっています。
古くから文豪に愛された鎌倉らしく、様々な文豪や歌人ゆかりの資料をたっぷりと堪能できるのもオススメポイントです。
住所:神奈川県鎌倉市長谷1-5-3
アクセス:由比ヶ浜駅から徒歩約7分
オープン年:1985年(1936年竣工)
その他:登録有形文化財
大規模修繕の為令和8年度まで長期休館中
入館料:一般300円~500円(企画によって異なる)
ホームページ:http://kamakurabungaku.com/
いかがでしたでしょうか。
ちなみに東京都内のおススメ文学館については、こちらの記事でも紹介していますので、興味のある方は是非参考にしてみて下さいね。
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